自ら不倫しても財産分与は請求できる

感情と財産は別物?


離婚する際の財産をわける方法は、トラブルになる典型的な例ですよね。

 

財産分与、結婚してできた夫婦の財産は、たとえ相手が浮気してもわけることになります。

 

でも一体なぜ、不倫や浮気をした妻にまで、財産を分け与えることになってしまうのでしょうか。

 

自ら浮気とか不倫をしておいて、財産分与を請求する ことってできるんですか?

結論から言えば、できます。

 

それは財産分与は、簡単に言ってしまえば、夫婦であった期間に築き上げた財産だからです。

 

その財産を、結婚という契約を解消するときに分けるのは当然だからです。

いくら財産分与の制度上、離婚時に財産を分ける、といっても、

 

浮気や不倫をされたほうが、した方に財産を渡すとなると、感情的には納得いかないところもありますね。

 

実際の離婚であった、不倫した妻が夫に請求したケースを紹介します。

 

 

ようやく自分の時間が持てるようになった妻が浮気

 

夫は中堅食品メーカーの営業課長で45歳になります。
郊外の一戸建てに奥さんと高校1年生の一人息子と3人暮らしです。

 

住んでいる家は、20年前に夫が独身時代に買ったものです。

 

夫の財産と言えば、時価4000万円のこの家だけでほかにはなにもありません。ただし、2000万円の住宅ローンがまだ1000万円残っています。

 

この20年ほど仲がいいとはイメないのですが、夫婦仲は今のいままで、一度も波風が立ったことなどなかったのです。

 

確かに夫は仕事柄残業や出張も多く、新婚時代の妻が寂しい思いをしたことは何度もあります。

 

しかも、夫はどちらかといえば亭主関白で、休日も家族サービスはしない育児や家事などは妻一人に任せっきりでした。

 

「オレは仕事で忙しいんだ。

 

家に帰ってまで面倒なことはイヤだ。

 

おまえの責任でやってくれ。」

 

妻が何度かほんの少しでもいから「洗濯を干すだけでも」と相談しても、夫の返事はいつもこんな感じで同じでした。

 

もう少し話を聞いてくれてもいいのに・・・・
そう思うことも多々ありました。

 

明るい妻は楽天的で、

 

『どこも亭主なんてこんなものでしょう。』

 

とあきらめ半分で割り切っていました。

 

腹が立たないというよりも、夫から信用されていると思えば、家事や育児もそれなりにできます。
信じてもらえているからこそ家庭のことができたのです。

 

そんな考え方になっていたので、結婚以来、夫婦げんかもほとんどすることなく過ごしてこれたのです。

 

その意味では夫婦仲は悪いとは言えなかったのです。

 

そんな夫婦仲がそれなりに保っていた関係に亀裂が入ったのは、およそ2年ほど前。
一人息子が高校に進学する頃です。

 

ようやくほとんど自分の時間が持てるようになった妻が、以前から好きでやってみたかったダンスを本格的に習い始めようとしたときからです。

 

「家のことにさしさわりがなければ、別にやってもいいよ。」

 

妻は、ダンス教室の受講料など必要な費用はパートで稼ぐ、ということにしました。

 

夫も相談を受けましたが、反論する理由はありませんでした。

 

パート勤務がきっかけで夫以外の男性の気遣いに感情が傾いた

パートタイムで働き出した後に財産分与を請求する妻

 

妻は家事にも差し障りがない午後の5時間程度を、近くの薬局チェーン店にパートでアルバイト勤務することにしました。

 

その店で、後に不倫の相手となる男性マサシさんと知り合ったのです。マサシさんはその店の店長で40歳。バツイチでした。

 

「ちょっと固いなぁ。もっとリラックスしてください。」

 

パートとは言っても妻にとっては20年ぶりくらいの外での勤務です。
しかもいきなり、レジの対応をさせられたこともあって相当緊張していました。

 

隣に立っている店長のマサシさんは、楽にしろというのですが、そう簡単に緊張は解けそうにもありませんでした。

 

「じゃぁ大きく深呼吸してみようかぁ。そうそう上手上手。それから、両手をぶらぶらさせて・・・・・」

 

突然、大きな身振りで深呼吸を始めたのです。
慌ててまねをしました。

 

何度か体を動かしているうちに、緊張もほぐれて笑顔もだせるようになりました。

 

その後も、店長のマサシさんはなにかと慣れない仕事を手伝って気を使ってくれ、ことあるごとに優しい言葉をかけてくれます。

 

一方で家に帰ると、夫からは、

 

「おい、お茶。」

 

「風呂わいてるか。」

 

「メシ」

 

としか言われません。相変わらずの亭主関白だったのです。

 

そんな扱いしか受けてこなかった妻が、店長のマサシさんに好意以上の感情を抱くのは時間の問題でした。

 

それが、単なる 浮気 ですめば問題なかったのです。
しかし、パートを始めてから一ヶ月経たない間に、毎日のように店長のマサシさんのアパートに通うようになっていました。

 

「ごめんなさい。」と書かれていた妻の置手紙

 

妻が夫にたった一枚の置き手紙を残して家を出て、夫は初めて不倫に気がついたのです。

 

パートを始めてから半年のことでした。

 

夫は信じられない話しでしたが、マサシさんの部屋で妻と会い、その口から 離婚 を言い出されたのです。

 

妻の不倫を現実の出来事として認識するしかありませんでした。

 

その後、3人で何度か話し合い、妻の決意が固いことがわかると、夫も離婚に同意したのです。

 

一人息子については、本人の意思を尊重して、夫が引き取ることにしました。

 

そして、夫は妻に署名捺印した離婚届を渡したのです。

 

ところが妻の方が離婚届を役所に届けるのをやめたのです。

 

そして、最初は「離婚できればなにもいらない」と言っていたのに、後から2500万円の財産分与を要求してきたのです。

 

夫が「約束が違う」と言うと、妻が財産分与の理由を言ったのです。

 

  • 夫の資産の半分は妻の内助の功によるもので、資産の半分は分与すべき
  • 財産分与の対象になる夫の資産は、時価4000万円の土地建物、夫の退職金見込額1500万円
  • 住宅ローンが1000万円
  • よって、総額4500万円の総額のうち、2200万程度が財産分与として相当

 

「長年、あなたと子供のために家事と育児を引き受けてきたのよ。このくらいもらうのは当然の権利だわ。」

 

夫側からすれば、自分を裏切った妻に1円たりともあげたくありません。むしろ、妻と不倫相手から慰謝料を取りたいくらいです。

 

結局、二人の言い分が真っ向から対立して、離婚届を書いてから1年近い年月が経ってしまいました。

 

弁護士のアドバイスが功を奏した

 

夫はこのままズルズル話し合いを続けるより、さっさと離婚調停を申し立てることにしました。
場合によっては離婚の裁判を起こした方が、得策だな、と感じたのです。

 

まずは、法律相談を受け、信頼できる弁護士と話しました。

 

そこで、弁護士の説明を聞くとやはり、

 

「このまま調停を申し立てないと、離婚に応じない、とごねられたり、離婚までの生活費を払え、と請求されるケースもある」

 

とか。

 

財産分与についても、夫婦お互いの財産の分配と、離婚後の生活を扶養するという慰謝料的な2つの性質があるとか。

→詳しくは財産分与

 

妻に不倫された夫が一円もやりたくないという気持ちはわかりますが、やはり財産分与をしないわけにはいかないでしょう。

 

ただし、2200万円という請求額は法外だと思います。

 

まず、退職金は財産分与に含まれるという考え方も十分にあるのですが、現在のような経済情勢下では、将来払われる予定の退職金まで財産分与に入れる必要はないでしょう。

 

とすると、財産分与の対象は、夫が住んでいる土地建物だけです。

 

しかし、この不動産は、結婚前に買った金額と、現在の時価とが同じだとして、頭金は1500万円。

 

少なくともこれは個人資産だと思われますから、財産分与の対象にはなりません。

 

もし、夫婦で協力した資産があるとすれば、住宅ローンの2000万円だけです。しかし、まだ1000万円残っているので、どんなに多く見積もっても財産分与の対象は、2000万円に過ぎません。

 

仮に専業主婦の内助の功をまるまる認めたとしても、その半分です。
つまり、妻への財産分与は、1000万円以下、と考えられます。」

 

なるほどなぁ、と感心しきりの夫でした。

 

そこで、慰謝料 についても請求したらどうなるかをシュミレートしてもらいました。

 

「まず、妻と不倫相手の店長に二人から別々に慰謝料がとれますが、その金額はせいぜい一人100万円〜200万円程度、といったところです。」

 

妻とその不倫相手から受け取る慰謝料より、妻に支払う財産分与が多いというのは、納得いきませんが、最悪でもこの差額程度の支払いは覚悟することにしました。

 

弁護士のアドバイスはさらに続き、

 

「不倫のあげくに家庭を捨てたのは妻の方です。

 

悪いのは向こうなので、こちらも法外な慰謝料を請求するなどしたほうがいいと思います。

 

また、財産分与も最初から具体的な金額で交渉するのではなく、一切認めないという強気の姿勢で対応すべきです。」

 

このアドバイスから1週間後、夫は調停を申し立てました。

 

調停は、半年程度続きましたが、強気のこの弁護士のアドバイスが功を奏して、妻と不倫相手に慰謝料としてそれぞれ200万円を請求できることになったのです。

 

財産分与としても、今の不動産の時価が時代を反映してか相当低くなっており、400万円。

 

結果として、慰謝料と相殺して差し引きはゼロ円に落ち着きました。

 

妻が離婚をいいだしてからおよそ2年。

 

夫は、よく離婚で裁判や調停にすると、世間体が悪い、という言う人もいるけど、いつまでもごたごたするよりずっとましだな、と納得しています。

 

この離婚体験談でもあったように、財産分与は離婚原因を作った側からでも請求できるのです。

 

感情としてはどうかな、と考えてしまうところもありますが、感情で突っ走ってしまっても法的には保護されません。
一人で憤慨せず弁護士等のアドバイスはもらうべきです。

 

マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、財産分与する際には、資産価値からの処分を検討することもできません。

住宅ローンはその価格から差し引きます。

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不動産の財産分与をするなら贈与税に注意

 

贈与税法の通達には、

 

「夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮しても過当な部分は、贈与があったものとする。」とあるだけです。

 

具体的な金額や割合についての規定はありません。

 

一般的に妥当な範囲の財産分与には贈与税はかかりません。

 

しかし、裁判ではまず認められないような多額の財産分与をする場合には、最初から贈与税の支払いも計算に入れておいた方が無難です。

 

特に、土地建物のような含み益のありそうな資産を現物で譲る場合は注意した方がいいでしょう。

 

財産分与時の時価と購入時の取得価格の差額が、譲渡所得とされて、それも財産分与した側に課税されるからです。

 

離婚相手には、慰謝料でも財産分与でも一円でも払いたくないというのが普通の気持ちです。

 

しかし、2度の離婚で2度とも全財産を元妻に渡してしまったというタレントさんもいますが、どうしても別れたいという場合には、相手に離婚を承諾させるために必要以上の財産分与をすることもあります。

 

この場合、相手は喜んで離婚届に印鑑を押してくれるかもしれませんが、税務署から高額な贈与税を取られることもあるので注意が必要です。

 

離婚時には特にお金に関しての条件をしっかり決めさえすれば、離婚後でも生活に困る事はほとんどなくなります。

 

逆に、お金の事をしっかり把握しないまま、感情と勢いで離婚してしまうと、あとあと大変になってしまいます。

離婚の条件で後々後悔しないために必ず決める2つのこと

 

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