財産分与ができるのは離婚後2年まで

離婚前から計画をしないと、とりっぱくれる

 

財産分与って離婚の時に夫婦で半分ずつにするイメージがありますよね。

 

でも、どうしても離婚したいから、とりあえず離婚届を先に出して、後からゆっくり財産を分ける相談をしよう、という人もいるんです。

 

結婚しているとどうしても、お互いについ感情的になってしまうこともありますからね。

 

そこで気をつけたいのは 財産分与の請求できる期間 です。

 

この期間は離婚してから2年とキッチリ決まっているんです。

 

理由は、この2年が法律上「時効」ではなく、きっちり期間がきまっている「除斥期間」だからです。

 

 

権利を安定させるために離婚後2年だけという理由がある

 

結婚してから18年経つんですが、離婚届を先に出してから、財産をチェックして 離婚後に財産分与 をしようと思っているんですが・・・

離婚したい気持ちが大きいんですね。

 

でも、DVが理由で離婚するのでなければ、離婚届を出してからの財産分与は、請求期間との関係で要注意ですよ。

財産分与の請求期間は 2年間 って聞いたことがあるんですけど、これって時効みたいに相手にちょくちょく言っていれば延長されるんじゃないですか?

確かに、民法768条には「離婚の時から2年」と書いてあるんですが、これは法律上「除斥期間」と言って時効みたいに伸ばすことができないんです。

離婚してから隠し財産があったことがわかっても、離婚後2年が経ってしまうと「その財産分けて!」と請求することはできなくなります。

 

たいていの場合、財産分与は離婚と一緒に請求するので、離婚届を出す前の協議離婚、もしくは離婚調停や離婚訴訟で決まることもあります。

 

ただ、お金に関する事でしかも、もめてしまうと長期化することもよくあります。

 

だから、離婚したい気持ちが大きいと、財産分与を決めないで離婚を先行させる人もいます。

 

離婚後に財産分与その請求は原則、離婚成立後もできますが、この2年間は「除斥期間」として法律の実務は運用されています。

 

除斥期間は権利を行使ることのできる確定期間なので、その趣旨は権利関係の早期安定なんです。

 

何年も経ってから「財産を見つけたから、ハイ、わたしの分、半分ね」とすると、その間にすでに他人の手に渡っていたら、その人が何年も経ってから財産をとられちゃうので迷惑をこうむってしまいます。

 

これが、財産分与は2年の除斥期間である、という意味です。

 

離婚時から2年の「スタート」はいつから?

 

財産分与は離婚した時に、同時に行うのものですよね。

 

なんらかの事情によって、財産分与の具体的な内容を決めるのが遅くなったとしても、ここにあるように離婚後2年間は猶予があります。

 

この離婚後2年の始まりっていつからなんですか?

「離婚後2年以内の」スタート時点は、離婚する形態によって違います。

まず、離婚後=「離婚が成立した日」と解釈されています。

 

「離婚が成立した日」とは

 

  • 協議離婚の場合、離婚届が受理された日
  • 調停離婚の場合、調停が成立した日
  • 審判離婚の場合、審判が確定した日
  • 裁判離婚の場合、判決が確定した日

です。

 

離婚した形態によって、2年のカウントダウンが始まる日が違うんですね。

 

これが、離婚の時から2年という意味です。

 

離婚届を出したその日ではないので間違えて2年が過ぎていた、なんてことがないように注意です。

 

この2年経ってしまうと、いくら財産があったとしても、まったく財産分与権を行使できません。

 

同じように、慰謝料も時効あるのですがこちらは損害賠償請求権という種類の権利になるので、3年で消滅時効にかかります。

慰謝料の時効は3年

 

気をつけておきたいのは、住宅ローン付きの不動産を持っている場合です。

 

金融機関にもよりますが、「ローンを完済しないと名義変更ができない」と言われ、2年以上経ってから財産分与する場合です。

 

「やはり離婚かな」と思ったらまずは財産チェックしたほうがいいです。

 

離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。

 

特に、離婚後の財産のことについては話し合えないとこじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。

 

マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておくことで、資産価値からの処分を検討することができます。

 

離婚前から準備していないと、離婚後2年が過ぎてしまったら、自宅も財産分与ができなくなる可能性もあります。

 

住宅ローンがある場合は、その査定価格から差し引きます。

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財産分与の財産がなくなる危険がある

財産分与の財産自体がが時効前になくなる

 

財産分与をすること自体は、離婚前にしなければならない、という条文があるわけではありません。

 

もし取り決めがなかった場合でも、財産分与の請求はできますが、離婚したときから2年以内の期限(時効期間)があります。

 

この時効期間を過ぎれば無効(つまり、はじめからなにも財産なんてなかったこと)になってしまいます。

 

離婚したいと思って、「相手も離婚OK」なら、気が変わらないうちに、さっさと離婚届を出してしまいたいですよ。

離婚の意思がコロコロ変わると、こじれそうだからその気持ちもわかります。

 

でも、財産があったら急いで離婚届を出しては危険です。

財産分与をするのに、時間が経ってから相手に請求したときに、その財産を持っていた方が転売したり、消費したりすることもあるかもしれません。

 

財産分与を離婚後にしようとした場合のデメリットの例

 

離婚の時に時価3000万円の不動産を夫名義で所有していた。

   ↓

離婚して夫が第三者に売却した

   ↓

その不動産を買った人に請求はできない

 

確かに、離婚した後でも、2年間の時効期限の内なら請求することはできます。

 

でも、財産分与を決めずに離婚するのが危険な理由は

 

  • 財産自体が他人にわたってしまうと取り戻しができない
  • いったん離婚が成立した後、なかなか財産分与の話合いに応じてくれない

からです。

 

気持ち的にも、離婚してほとぼりが冷めそうなときに財産分与の請求をされると、「また波風を立てられてしまうのか」という思いになってしまいます。

 

だから、財産分与の問題は、離婚前に早く解決する方が望ましいんですね。

 

いったん放棄してしまうと財産分与の請求権は取り戻せない

 

離婚する時に財産分与に限らず、「慰謝料や養育費などの請求はしません」「財産分与も請求しません」という、請求権を放棄したとりきめをしてしまうことがあります。

 

特に、早く離婚したい気持ちがあると、なかばやけっぱちになって、こういった決断をしてしまうこともあるんですね。

 

財産分与をしない取り決めが、脅迫などでそうさせられた、または重大な思い違いをしていた、など特別の事情がないと、ふたたび財産分与の請求をすることができなくなってしまいます。

 

財産分与を決めるには

 

財産分与は結婚生活中に夫婦が協力してできた財産を二人の実質的な共有として分けようというものです。

 

二人で半分ずつ、ということが多いのですが、必ずそうとは限りません。

 

というのは、財産分与は基本的には、清算する意味と離婚によって生活の不安になってしまう側の配偶者を扶養するという意味合いも持っているからです。

 

訴訟による離婚の場合はともかく、協議離婚で離婚を成立させようと思えば、離婚を望む方が譲歩するほかはありません。

 

預金などはわかりやすくてわけやすいのですが、不動産や動産など評価の難しいものも話し合いで決めるほかありません。

 

調停や訴訟では固定資産税での評価額や鑑定をすることがありますが、協議離婚であればそこまですることはまれです。

 

離婚後に財産分与をすると、離婚後だと財産分与応じたとしても、金額を低く見積もられることがあります。

 

あらかじめ、売却したらどれくらいの価格になるかを出して、資産価値からの処分を検討しておくと有利に離婚条件を展開できる可能性があります。

 

簡単な計算方法は→住宅ローンがある場合の、財産分与の計算方法

 

財産分与が除斥期間の理由

除斥の趣旨は権利の早期安定

財産分与に関する民法上の条文は768条に書かれています。

民法第768条

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

 

2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。
ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。

 

3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

 

除斥期間とは

 

除斥期間の言葉を調べてみると、こう書いてあります。

 

除斥期間(じょせききかん)とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度。
『ウィキペディアより』(https://ja.wikipedia.org/wiki/除斥期間

 

この768条2項の部分の条文には、「2年を経過したとき」としかかかれていませんが、権利関係を早期に安定させるために、「除斥期間」という解釈がされているんですね。

 

財産分与が除斥期間とした判例

 

仙台家庭裁判所平成16年10月1日審判(家庭裁判月報57巻6号158頁)

離婚後の財産関係はできるだけ速やかに確定されるべきものであるから、財産分与請求権の行使期間についてもその趣旨に則った解釈をすべきである。

 

また、そもそも財産分与請求権は、離婚の効果として当然に発生するものの、その具体的内容の確定は当事者間の協議又は調停、審判等の裁判上の処分によって形成的になされる性質のものであるから、その期間内に行使されることによって目的を達して消滅し、仮にその期間内に行使されなければ以後行使し得ないものとして消滅するものと解すべきであり、翻って、このような性質を有する権利の行使期間について、中断を認める時効期間と解する必要はない。

 

したがって、財産分与請求権の行使期間は除斥期間と解すべきであり、これを消滅時効期間と解する申立人の主張は、前提において失当であるといわざるを得ない(除斥期間についても期間の進行の停止が考えられなくはないが、不可抗力等の特段の事情がある場合に限られると解すべきであり、本件においてそのような事情は認められない。)。

 

除斥期間は、時効と似ているんですが、時効のように、請求したら中断することや、援用したりすることがないのが特徴です。

 

だから、離婚後でも財産分与の請求をすることができますが、離婚から2年内に行使しなければなりません

 

除斥期間と消滅時効の違い

 

時間が経つと権利がなくなってしまう点で、「除斥期間」と「消滅時効」は似ているんですね。

 

どちらも権利を早く安定させることで、目的とするところは一緒なんですが、システムが違うところがいくつかあります。

 

除斥期間のほうが、消滅時効より感覚として、早く権利が確定する、という意味があります。

 

その内容は以下のような点に出てきます。

 

  • 援用ができない

    時効を援用することによって、さらに期間を延ばすことができます

  • 遡及しない

    時効のように援用する事で、時間がもどるような権利ではない

  • 発生時点が決まっている

    物事が起きた時点で、スタート地点が決まっている

  • 中断しない

    時効のように、訴訟をしたら権利が確定するまで一時停止する、ということがない

決定的に違う点は、この点なんですね。

 

熟年離婚で財産分与をするならできるだけ早めに対策を!

 

熟年離婚になると、結婚期間が長いがゆえに、夫婦で婚姻中に築き上げた財産は大きいです。

 

あんがい勘違いしている人も多いのですが、結婚後に買った自宅は、名義に関係なく財産分与の対象になります。

 

持分が100%夫の名義でも関係ありません。

 

住宅ローンが残っていれば、それも分与の対象になります。

 

もし自宅などの不動産を所有しているのなら、最終的に離婚したとなるとお金の問題は、財産分与で清算、という方法をとります。

 

法律上、財産分与は、婚姻期間中に築いた財産を夫2分の1、妻2分の1の割合で分け合うのが原則です。

 

熟年離婚の場合には、退職してすでに支払われた退職金だけしか財産分与ができないわけではありません。

 

これから支給されるであろう退職金も、財産分与の対象と認められることも多いです。

 

自宅が財産分与の対象になりそうなら、早めに売却したらどれくらいの価格になるかを出して、資産価値からの処分を検討しておきましょう。

 

できれば財産に関する取り決めは公正証書にしておく

 

財産分与に限ったことではないんですが、慰謝料、養育費といった財産関係も決まったから離婚届を出そう、ちう前にもう一つやっておくことがあります。

 

それは財産に関して決まったことを公正証書にしておく、ということです。

 

公正証書とは、近くの公証人役場へ夫婦二人で行って、公証人に頼んで作成してもらう公的な証書のことです。

 

印鑑証明付きの証書(いわゆる委任状)と印鑑証明書を代理人に渡して、代理人による作成ができます。

 

その際に、万一、支払いが滞納したときには、強制執行してもらってもかまわない旨の「執行認諾文言」を入れておくと、金銭に関しては判決と同じ効力を持つ強い文書となります。

 

費用もそう高くないので、忘れずに公正証書にしておきましょう。

 

法律的な解釈が必要なくらいの離婚の相談をしたいならば、最終的には弁護士に相談したほうがいいです。

離婚したいと思った時に弁護士にする離婚の「相談」と「依頼」

 

     

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